旧大川小学校震災遺構整備建築工事

[工事場所] 　宮城県石巻市釜谷字韮島90
[工期]　　　令和2年6月15日～令和3年3月1日
[発注者]　　石巻市
[概　要]　　木造平屋建て　延べ面積　299.70m2
　　　　　　主要室　　管理室、多目的スペース、倉庫、展示室、多目的トイレ、男子トイレ、女子トイレ、物置
　　　　　　建物周囲外構　　土間コンクリート、砂利敷、誘導ブロック、植栽
　　　　　　上記工事の電気、機械設備等を除く建築工事一式

Q1　建築技術員の仕事内容について教えてください。

現場で管理しているのは、安全管理・工程管理・品質管理・原価管理の4つになります。まず、その日に作業を行う協力業者全員で朝礼を実施し、作業する場所、作業内容、予想される危険なポイントと対策、現場の資材搬入予定等を共有しています。昼礼の際は翌日以降の予定を各社の職長を集めて打ち合わせし、異業種で作業範囲が重ならないよう資材搬入の時間調整などを行います。打ち合わせ以外の時間は現場を巡視し、計画通りの進捗状況となっているか、指示した高さ・位置で施工されているか、出来たものに損傷・汚損はないか等を確認します。それ以外は現場事務所で書類の作成や図面の作成を行っています。

Q2　今回のプロジェクトの概要を教えてください。

東日本大震災で津波被害を受けた石巻市立大川小学校の敷地内に、木造平屋建ての震災伝承館の新築にあたりました。おもなスペースとして、管理室、多目的スペース、倉庫、展示室、トイレ等があります。それからこの建物の周囲の外構工事で、土間コンクリート、砂利敷き、誘導ブロックの敷設を施工しました。

Q3　このプロジェクトで大変だったことはどんなことですか。

震災遺構整備として発注されたこの工事は、東日本大震災で被害を受けた大川小学校に関わる工事だったため工事中でも遺族の方や校舎を見学に来る一般の方も数多くいらっしゃいました。また、修学旅行シーズンは大勢の学生が見学に来たりと、通常の現場より第三者への安全対策をより注意して行う必要がありました。気を付けた点は、見学のスケジュールを確認し、その日は大型資材の搬入や大きな音の出る作業は設けないなどの配慮をしました。
施工に関して大変だったことは、外観を良くするために外壁はコーキングをしないでおさめるといった設計になっていた点です。設計上コーキングを打たなくても雨漏りはしないという判断での設計だったのですが、施工する側として心配する点がいくつかありました。雨漏り対策もでき外観を損ねない方法を検討した結果、外壁材の後ろで下地全面にブチルテープを貼る方法を実施しました。外壁材の内側で細工することで外観を損なうことなく、雨漏りの可能性を解消することができ良い方法でおさめられたと思っています。

Q4　プロジェクトを通して、学んだこと、感じたことはありますか。

長期にわたって東日本大震災を伝承していく施設の新築工事に携われたことは嬉しく
思います。この現場を通して学んだことは、顧客の要望に寄り添いながら建物の機能性を守る方法を検討していくことの重要さです。今回は目に見えない部分で工夫をすることで外観を設計通りにおさめることができました。今後の現場でも顧客から要望を受けたときに、建物の美観、使いやすさ、雨漏りなどの機能性に関わる問題をクリアしながら対応していけるような工事を行っていきたいと思います。

SCHEDULE

1日の流れ